今回、許可を得て2月1日付けで掲載していただきました記事を引用・ご紹介させていただきます。
情報誌やパーティーで稼いで寄付して気づきや学び/高校生の「文京社会験学コンテスト」最終報告会地域情報誌を発行して得た広告料を、途上国の女性支援に。チャリティ鍋パーティーの売り上げを、あしなが育英会へ。起業と社会貢献を高校生に同時に体験してもらおうという「文京社会験学コンテスト」の最終報告会が1月31日、文京区西片の文化シャツターBXホールで開かれた。区内の高校に通う6グループ25人が、約半年かけ、自らが考え出したイベントや物品販売などの「事業」を通して得た収益を、NPO法人などに寄付するプロジェクト。紆余曲折の末、事業ができなかったグループもあったが、懸命に考え行動した高校生の姿に、会場からは「大人の方が学ばせてもらった」との感想も。最優秀賞は、フリーペーパーで10万円の収益を上げ、途上国の女性教育支援をしているNPOに寄付した「Suppport the girls」が受賞した。問題解決力やコミュニケーション力などの「生きていく力」を高校生に養ってもらうことをねらい、NPO法人Curiosity(キュリオシティ)が主催。各グループは5万円を元手に、自ら事業を企画し、収益を上げることを目標にした。文京区在住・在勤の社会人が各グループに1人、伴走者としてついた。最優秀賞の「Suppport the girls」は3人の女子高生グループ。途上国で高校に行けない同世代の女性がいることに問題意識を持ち、寄付先はすぐ決まった。地域情報誌「MOYO(スワヒリ語で「心」の意味)」を制作することにし、夏ごろ、広告を取るために区内の店を100店以上訪ね歩いた。相手にされないこともあったが、チェーン店でなく個人商店が狙い目と気づき、最終的に26店から広告を取った。秋にA4版9ページの情報誌を1500部制作。高校やイベントで配布したほか、20カ所以上の店などに置いてもらった。売り上げは広告費だけだが目標の10万円を達成。寄付を受けたNPO法人「ルーム・トゥ・リード」の担当者は「この金額で4人の女性が学校に通える」と喜びを語った。中国出身者や在住経験者のグループは中国語も学べる手作り餃子パーティーを企画、外国にルーツを持つ子どもたちの教育支援団体に寄付した。入院中の子どもたちが描いた絵を、デザイナーの力を借りてノートや絵はがきといったグッズにして販売したグループもあった。しかし失敗も多かったようだ。ダンスライブを企画したが出演者と日程が合わず中止、ケーキ作り体験イベントを企画したら保健所の申請の問題が生じて中止、最終的にチャリティー鍋パーティーに落ち着いた、という例も。準備が間に合わず、華道部や茶道部員であることを生かしてこれから「和文化体験」イベントを開くグループもある。老人ホームに行ったり、ゆるキャラ出演交渉に奔走したり、芸人出演交渉のため吉本興業を訪ねたら日曜日で休みだったり……曲折を経てスポーツイベントに絞り、小学校にもチラシを配ったものの参加者が集まらず、イベントは中止、次の手がかりができたところでタイムアウト、というグループもあった。(あいさつするキュリオシティ理事長の小川さん)
キュリオシティ理事長の小川智康さんは「6グループが何かしらの成果をあげて最後まできたのがすごい」という。「高校生のチャレンジ精神やモチベーションに驚かされた。成功がよくて失敗がだめなのではなく、それぞれに気づきや学びがあったことがよかった」と話していた。社会験学コンテストは来年度も続けるという。(敬)